日本を含む世界のタブレット市場を独占しているiPad。実際、iPadは、価格、機能、使い勝手のすべてにおいて他の製品を圧倒していて、筆者もタブレットなら迷わずiPadをおすすめしています。
iPadが2010年に初めてリリースされたときは、iPadは種類が1つしかなかったので選択はシンプルでした。しかし、現在販売されているiPadはなんと28種類。
自分にあったiPadを選ぶのも大変です。
そこで、この記事では、まず簡単にiPadの全モデルを紹介し、利用目的の異なるユーザー別に筆者のおすすめのiPadを紹介。その上で、購入するときに検討すべき各モデルの違いと特徴についても詳しく解説します。
iPadの種類
iPadは、機能・サイズの違いにより、全部で以下の5種類のモデルがあります。
- iPad Pro 12.9インチ
- iPad Pro 11インチ
- iPad Air
- 無印 iPad
- iPad Mini
そして、この5種類に対して、Wi-FiモデルとCellularモデルの2種類があり、ストレージの容量によりさらに2~4種類に分けられます。
次の表が全28種類のiPadをモデル名・接続方法・容量別にあらわしたものです。
iPadのモデル名 | 接続方法 | 容量 |
iPad Pro 12.9インチ | Wi-Fi・Cellular | 64GB・256GB・512GB・1TB |
iPad Pro 11インチ | Wi-Fi・Cellular | 64GB・256GB・512GB・1TB |
iPad Air | Wi-Fi・Cellular | 64GB・256GB |
無印 iPad | Wi-Fi・Cellular | 32GB・128GB |
iPad Mini | Wi-Fi・Cellular | 64GB・256GB |
ユーザータイプ別のおすすめiPad
たくさんのiPadの中で筆者のおすすめのiPadは次の3つのモデルです。
- 無印 iPad Wi-Fiモデル 32GB(通常ユーザー)
- 11インチ iPad Pro Wi-Fiモデル 64GB(プロ・ヘビーユーザー )
- iPad Mini Cellularモデル 64GB(携帯性重視ユーザー)
通常のユーザにおすすめのiPad
通常のユーザには、単純に一番安い無印のiPadが最適。iPadのよいところがすべて詰め込まれてるのに値段が他のモデルに比べて圧倒的にやすいからです。
容量も無料のクラウドストレージを使えば良いので、128GBのモデルよりも32GBのモデルがおすすめ。また、維持費が無駄にかかるCellularモデルよりもWi-Fiモデルがよいです。外出先でネット接続が必要なときは、スマホのテザリングを使いましょう。
プロ・ヘビーユーザーにおすすめのiPad
プロ・ヘビーユーザには、処理能力が高く最新のスクリーン技術を搭載した11インチのiPad Proがおすすめ。最新のテクノロジーをタブレットとして使いやすい大きさに収めた点が素晴らしいモデルです。
12.9インチのiPad Proが気になる方もいると思いますが、ノートパソコンとしては小さくタブレットとしては大きくて持ちづらいのが難点。また、大きさに対して薄すぎるため強度にも不安があります。大きい画面が必要なら13インチのMacBook Proの方がよいでしょう。
パソコンとiPadの間で購入を迷っている方は、こちらの記事を参考にしてください。
パソコン歴20年の筆者がパソコンよりも iPad をすすめる理由
iPadとMacの両方に興味がある方は、こちらの記事もどうぞ。
知っておきたいMacとiPadの共通のショートカット・ジェスチャー
容量は64GBがおすすめ。プロユーザーはパソコンとの連携が必ず必要になるので、大きい容量のものを購入するよりもクラウドストレージに投資しましょう。また、iPadOSが搭載された最新のモデルは外付けのハードドライブも認識するので、そちらを利用するのもありです。
また、CellularかWi-Fiモデルにするかについては、無印のiPadと同様にWi-Fiモデルをおすすめします。
携帯性重視のユーザーにおすすめのiPad
携帯性重視ユーザは持ち運びやすさ抜群のiPad Miniがおすすめ。
iPad Miniは片手で持ちやすいサイズに無印のiPadよりも高い機能を詰め込んだモデルです。携帯がガラケーで、移動中にゲーム・本・動画などを楽しみたい人にイチオシ。
ガラケーではテザリングが使えないので、おのずとCellularモデルを選ぶことになるでしょう。
携帯性を突き詰めればiPhoneによる代用も考えられますが、最新のiPadOSのリリースでいPad Miniを購入する理由が明確になりました。iPadとiPhoneの機能的な違いを知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
容量については、基本的に値段の安い64GBのモデルがおすすめ。ただ、家にWi-Fiがなく、移動中に常によく映画を見るような方は、大量のコンテンツの保存が可能な256GBのモデルの方がよいかもしれません。
iPad購入時に検討すべき項目
ユーザー別のおすすめのiPadを簡単に紹介したところで、上記3つのモデルをすすめる理由を詳しくみていきましょう。
購入時に検討すべき項目は、各モデルを特徴づける以下の4点です。
- Wi-Fiモデル vs Cellularモデル
- 本体サイズ・重さ
- ストレージ容量
- 値段・機能
Wi-Fiモデル vs Cellularモデル
Cellularモデルは、iPhoneと同じようにSIMカードを挿入することで、Wi-Fiがないところでも携帯電話と同じ感覚で使えます。
便利そうなCellularモデルですが、Wi-Fiモデルより1万5000円(Proモデルは1万7000円)値段が高いだけでなく、スマートフォンとは別にSIMカードを用意するコストもかかります。
スマートフォンユーザーは、テザリング(パーソナルホットスポット)が使えるので、余計にお金を払ってまでCellularモデルを選ぶ理由はありません。
Wi-Fiモデルを選びましょう!
あえてCellularモデルを選ぶとすれば、メインの携帯がガラケーで、かつiPadを外出先でスマートフォンのように使いたい方だけです。
本体サイズ・重さ
iPadは大きく分けて、次の表の通り3つのサイズ・重さがあります。
モデル名 | 本体寸法(mm) | 本体重さ(g) |
iPad Pro 12.9インチ |
280.6 x 214.9 x 5.9 | 631 |
iPad Pro 11インチ
iPad Air iPad |
※
約250 x 175 x 6.1 |
456~483
|
iPad Mini | 203.2 x 134.3 x 6.1 | 300.5 |
※3つのモデルで数ミリの違いあり。
数字は意外とわかりづらいので、各モデルの使用感を表現すると、次のようになります。
12.9インチのiPad Pro
12.9インチのiPad Proは、ノートパソコンに近い大きさと重さのため主に室内でパソコンの代りとして使うのがおすすめ。ポイントは次の2つ。
- 片手では持てない、机・ひざ置きが基本
- 2人でも違和感なく動画を見られる大きさ
無印 iPad、 iPad Air、 11インチのiPad Pro
無印 iPad・iPad Air・11インチのiPad Proは、もっともタブレットらしい大きさと重さの利用シーンを選ばずに使えるモデルです。ポイントは3つ。
- 大人の男性がギリギリ片手で持てる重さ
- 1人で動画を見るのにぴったりのサイズ
- カップルならギリギリ2人で動画を見られる大きさ
iPad Mini
iPad Miniは、移動中に使うのにピッタリのサイズ。
- 大人の男女共に片手で持ちやすい重さ
- 外出先で暇つぶしに動画を見るには十分
- 家でみる場合は1人用としても小さい
ストレージ容量
iPadはパソコンと違い後から記憶容量を増量することができないので、購入前にきちんと考慮したい要素です。とりあえず大きな容量のものを買う方もいますが、大抵の方は実際のところ最小のストレージで十分です。
無印 iPadの最低ストレージ容量は32GB、その他のiPadの容量は64GBとなっています。その容量すべてをユーザが使えるわけではなく、iPadのシステムが使う容量(~8GB程度)を引いた数になります。ユーザが使える容量は、32GBで24GB、64GBで56GBです。
例えば24GBのうち4GBを残して使うパターンを考えてみましょう。20GBのデータはこれだけの容量になります。
- 写真 13,000枚
- 本 20,000冊~
- 動画 150~330分
- 映画 13本~
写真と本はかなりの数ですが、動画や映画は少ないと感じるかもしれません。
しかし、現在はGoogleフォトなどの無料のクラウドストレージに写真だけでなく動画も保存が可能です。また、映画についてもストリーミングがあるので、iPadに何本も映画を保存しておく理由は見当たりません。
そのように考えると、ほとんどのユーザには最低限のストレージ容量である32GB・64GBのモデルがよいでしょう。
ただ、次のような使い方を考えている場合は、より大きな容量のiPadが必要になります。
- 続けて2時間以上の動画を撮影し、編集もiPadで行う
- Wi-Fiがない、または接続が不安定なため、映画は常にダウンロードしてから見る
- プライバシーの観点からクラウドストレージを使わない
値段・機能
iPadは機能やサイズ以上に値段の差が大きい製品です。
無印のiPadが約35,000円であるのに対して、12.9インチのiPad Proはその3倍の値段です。画面の大きさによる違いもありますが、とうぜん機能的な違いもあります。
機能の違いは大きく次の4つです。
- ディスプレイ
- カメラ
- チップ(CPU/GPU)
- 認証方法(顔認証 vs 指紋認証)
使い方によっては、重要なポイントなのでそれぞれの機能について詳しく見ていきましょう。
ディスプレイ
ディスプレイに関して無印のiPadとその他のiPadとの違いは、画面の色自動調整と反射防止機能の2つです。
画面の色自動調整機能は、Appleが「True Toneディスプレイ」と呼んでいる機能で、まわりの光の色にあわせてディスプレイの色を自動調整します。
具体的には、夕方のオレンジ色の光の中で白い砂浜と青い海の写真ををみたときに、全体がオレンジ色ではなく元の色により近い色で見えるように調整してくれる機能。写真の編集や選択のときに役に立ちます。
反射防止機能については、文字通り画面の反射を抑えることで、ディスプレイをより見やすくする機能。昼間の屋外など反射しやすい環境で使うときには、うれしい機能です。
ただ、どちらの機能もあれば便利という程度で、多くのユーザーにとって無印iPadとその他のiPadとの金額の差を埋めるほどの価値を見出すのはむずかしいでしょう。
カメラ
カメラはiPadの最大の魅力の1つだと考える方も多いと思います。モデルごとの差がはっきりしているので、写真と動画の質にこだわる方は要確認。
まず、無印のiPadとその他のiPadのカメラの大きな違いは、自撮り用のカメラ(FaceTimeカメラ)の解像度です。無印のiPadが1.2メガピクセルに対して、その他のiPadは7メガピクセルのカメラが搭載されています。
数字だけでは差がわかりづらいため、テレビの画面と比較してみましょう。
機器名 | 解像度 |
無印のiPad | 1.2メガピクセル |
フルハイビジョン・テレビ | 2.1メガピクセル |
その他のiPad | 7メガピクセル |
4Kテレビ | 8.3メガピクセル |
8Kテレビ | 33.2メガピクセル |
写真は、表示画面よりも大きなピクセル数が必要なので、フルハイビジョン・テレビで自撮り画像を楽しみたい方は、無印のiPad以外を選択ということになります。
次に、ProモデルとiPad Airの2つのモデルについてですが、いくつかある違い中で重要なのは次の2つの機能です。
- 4Kビデオの撮影
- ポートレートライティング
4Kビデオの撮影が可能なデジタルカメラの本体が、少なくとも8万程度であることを考えれば、タブレットで4Kビデオを撮影できるのは画期的なことですよね。また、ポートレートライティングは、スタジオ撮影したような照明を可能にしてくれる機能です。
カメラの機能を重視するのであれば、11インチのiPad Proは格安です。ただ、iPhoneも所有しているユーザは、おそらく撮影はもっぱらiPhoneでしょうから、あまり重要なポイントではないかもしれません。
認証方法
iPadのユーザ認証は指紋認証(Touch ID)と顔認証(Face ID)の2つがあり、ProモデルのみにFace IDが搭載されています。
Face IDはSF映画に使われるようなテクノロジーです。SF好きにとっては、これだけでiPad Proを選ぶ理由になるかかもしれません。また、セキュリティに関しても、Face IDで認証の誤認が起こる確率が100万分の1に対し、Touch IDは5万分の1。会社で機密情報を扱うようなときは効果を発揮してくれるでしょう。
ただ、一般のユーザーは気にしなくて良いレベルです。
むしろ使い勝手の差が大きいかもしれません。筆者の経験上、高齢者など指紋が薄い人や手が脂っこい人はTouch IDがうまく使えないことが多いからです。
チップ(CPU/GPU)
iPadの頭脳ともいえる各モデルに搭載されているチップは、数字上大きな違いがあります。
各モデルに搭載されているチップは表のとおりです。
無印のiPad | A10 Fusion |
iPad Air & iPad Mini | A12 Bionic |
iPad Pro | A12X Bionic |
AppleによるとA12X Bionicチップは、A10X Fusion(A10 Fusionの進化版)よりも最大90%速いそうです。しかし、現実的には、通常のブラウジングや動画視聴などで、iPad Proとその他のiPadの間で大きな違いを感じることはないでしょう。
ただ、GPUを最大限に使う最新のゲームやPhotoshopを使った画像処理は別です。特に画像処理では、メモリ容量も大きく関わるため無印のiPadでは処理ができずにPhotoshopが落ちます。
ですから、画像処理に興味がある方やゲームのヘビーユーザーは、迷わずiPad Proを選びましょう。サクサク使えるはずです。
その他のユーザーはiPad購入時にチップの性能を気にする必要はありません。
おすすめのiPadのまとめ
以上、利用目的の異なる各ユーザにおすすめのiPadの紹介と、iPadの購入のときに検討すべきポイントについての解説でした。
まず、すべてのモデルに共通しているのは、標準的に一番小さいストレージ容量のモデルがおすすめという点です。容量の追加ができないため、お店ではどうしても大きな容量をすすめがちですが、ほとんどの方が使わないで終わります。どうしても足りなくなったら、クラウドストレージか外付けのハードドライブをうまく利用しましょう。
次に、Wi-FiモデルとCellularモデルのどちらを選択するかについては、基本的にはWi-Fiモデルが正解です。スマートフォンのテザリングを使えばよいので。Cellularモデルはガラケーユーザ用と割り切りましょう。
最後に、上記をふまえて、多くの方におすすめするのは、Wi-Fiモデルの無印iPadです。安かろう悪かろうという言葉はiPadにはまったくあてはまりません。
iPadですから。
プロ・ゲームヘビーユーザーには、最新のチップを搭載したWi-Fiモデルの11インチのiPad Proがイチオシ。グラフィック性能を最大限に使う用途では、Proという名前がつくだけの機能を発揮します。
そしてiPadをデカイiPhoneのように使いたい方には、CellularモデルのiPad Mini。女性でも片手でモデル小さいサイズなので、移動中に使いやすい大きさです。小さくても標準のiPadよりも強力なチップが使われているのでゲームもガンガンできます。
iPad購入のときにぜひ参考にしてください。