最近クラウドという言葉をよく耳にしませんか?
インターネットに関連する何かだとはわかるけど、実はよくわからない言葉の1つだと思います。そんな方のために、クラウド(コンピューティング)とはなんなのか、また何ができるのか解説します。
クラウドとは?
クラウドは、ユーザーが直接操作可能なパソコンやタブレットに対し、インターネットを通して利用可能な各種のサービスの総称です。
ただし、ウェブサイトのように元々インターネットを通して閲覧・利用するために作られたものは通常クラウドサービスとは呼びません。
例えば、映画の視聴はどうでしょうか?
少なくとも今までは、映画は映画館で見るか、DVDを借りてくるという方法でしたよね。この映画をお金を払って見るという行為そのものをクラウド化、つまりインターネットを通して見れるようにしたのが、映画配信サービスのNetflix。
映画のデータはすべてNetflixのサーバーにあり、ユーザーが見たい映画をアプリ内でクリックすると画像データを少しづつダウンロードして表示する技術(ストリーミング)を使ったサービスです。
別の例も見てみましょう。
以前は2つのパソコンでデータのやり取りをする場合、メールで送る、またはUSBドライブを使って渡すという方法を使っていたと思います。
このデータのやり取りをクラウド化したのが、クラウドストレージの「Dropbox」です。
Dropboxは、データをユーザーのパソコン内に保存するのではなくサーバーに保存することで、どのパソコンからでも簡単にデータにアクセスできるようにしました。しかもデータの変更が瞬時にすべての端末に通知されるので、データのやり取りにおいてUSBドライブもメールも必要なくなったわけです。
どちらのサービスの例でも、ユーザーはサーバーに保存されデータをインターネットを通して利用しています。これがクラウドの本質です。
クラウドを使う利点
クラウドの利点は、アクセスのしやすさ、故障やトラブルに対する強さ、本当の意味でのコストパフォマンスの3つです。
アクセスのしやすさ
いつでも・どこでも・どの端末でもインターネットにさえつながれば利用できるクラウドサービスは、アクセスのしやすさ抜群。
外出する前にデスクトップでやっていた作業を、そのままスマートフォンで続けることも、その逆も簡単にできます。通勤途中でも、週末でも、公園のベンチでも好きな時に好きな場所でデータやアプリケーションを開けるのでとても便利です。
故障やトラブルに対する強さ
クラウドサービスでは、データやアプリケーションはサービスを提供している会社のサーバーに保存・インストールされます。そして、そのサーバーはデーターセンターと呼ばれるサーバーを保管する施設に設置され、24時間365日その道のプロが管理するのが普通です。
つまり、個人で所有しているパソコンやスマートフォンよりも故障しにくく、トラブルにも強いということ。一度でもパソコンでデータを消してしまった経験のある方なら、これだけでもクラウドを使う理由になるでしょう。
コストパフォーマンス
いくらクラウドが便利だったとしても値段が高ければ、通常のユーザーが使うことはないでしょう。
幸い多くのクラウドサービスはフリーミアムのビジネスモデルを採用しているので、通常のユーザーは無料で使えます。有料のサービスもクラウドサービスが社会に広まることで、値段ははどんどんお手頃に。
実際、記憶容量の違いで値段が数万円変わってくるiPhoneでは、うまく無料のクラウドストレージを使いこなすことで端末の価格をかなり抑えることが可能です。
では、パフォーマンス(効率性)はどうかというと、その点もクラウドは優れています。というのも、通常データーセンターに設置されているサーバーには高速のCPUとメモリが搭載されているからです。高速のインターネットが普及した現在では、自分のパソコンの処理速度よりもサーバーの処理速度+インターネットによるデーターの転送による遅延のほうが早いことも少なくありません。
クラウドでできること
クラウドでできることは、大きく分けて1)ファイルの保存と共有、2)アプリケーションの利用、3)エンターテインメントの消費です。
ファイルの保存と共有
文章、写真、音楽、動画など様々なデータをクラウドストレージに保存し、共有(自分所有の端末間も含む)ができます。
例えば、スマートフォンで撮った写真をパソコンで見たり、メールで送れないようなサイズの動画を瞬時に友人と共有することが可能です。また、データがサーバーにきちんとバックアップされるので自分の端末が壊れることでデータが失われる心配がありません。
主要なクラウドストレージには次のようなものがあります。どれもパソコン、タブレット、またはスマートフォン用のアプリケーションが提供されていて、ユーザー名とパスワードさえあれば誰でも無料で利用可能です。
- Dropbox
- Google Drive
- iCloud Drive
- Adobe Creative Cloud
iCloud Driveについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
アプリケーションの利用
アプリケーションはマイクロソフトOfficeのような軽いプログラムから、デスクトップ用の3Dモデリングソフトなど専門的なプログラムまで様々なアプリケーションが利用できます。デスクトップ用のプログラムと違いブラウザから起動するものは、多少の違いはありますがどのオペレーティングシステム(Mac、Windows、iOS、Android等)からでも使えるのが特徴です。
例えば、次のようなアプリケーションがクラウドで使えます。
- Office 365(マイクロソフトOffice)
- G Suite(Google提供のOfficeスイート)
- LastPass(パスワード管理アプリ)
- Evernote(ウェブクリッピング)
- AWS(Amazonのクラウドソリューション)
家庭の支出管理をクラウド化の興味がある方は、こちらの記事がおすすめです。
エンターテインメント
日本でもNetflixに代表されるはエンターテイメントのサブスクリプションが人気を集めています。サブスクリプションは、音楽や映画を購入する代わりに、月額の使用料を払うことで、いくらでも視聴することができるサービスです。
日本で購読できるのは、次のようなものがあります。
- Netflix(映画&ドラマ)
- Amazon(映画&ドラマ、本、音楽)
- Hulu(映画&ドラマ)
- Spotify(音楽)
- Stadia(ゲーム)
クラウドサービスの安全性
クラウドが便利なのはだいたいわかったと思いますが、セキュリティが不安でクラウドサービスを使うのが不安という方も多いと思います。
実際ニュースでもアカウントがハッキングされて情報が漏れたという報道も過去にありましたが、何が危険なのか理解すれば必要以上に心配することはありません。
セキュリティで一番大切なことはパスワードです。パスワードに関する詳しい解説は割愛しますが、8文字以上でアルファベットの大文字小文字に加えて数字と特殊記号を組み合わせて作るのが基本中の基本です。辞書にある単語や、誕生日、住所の一部等を使うのは絶対に避けてください。
強いパスワードに加えてさらにセキュリティを強化するには2段階認証を使います。パスワードと携帯電話に送られるデータを同時に盗まれる可能性は、かなり低いので安心してクラウドサービスを使えます。
パスワードの作り方を詳しく知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。
2段階認証については、こちらを参照してください。
クラウドのまとめ
最近よく話題にあがる「クラウド」について解説しました。
クラウドサービスの特徴は、インターネットさえつながれば、どんな端末からでも使えることです。データの保存、アプリケーションの利用、エンターテインメントの消費の3つの分野で特に利用が広まっています。
ただ、クラウドサービスの質はインターネットの速度に大きく依存するため、クラウド化されていないサービスも少なくありません。ただ、2020年以降は5GとWi-Fi6という2つの無線規格の導入により、安定した速度の確保という問題が解決されクラウドサービスが一気に社会に浸透していくでしょう。
現在はクラウドを利用していない方も、これを機会に便利なクラウドサービスを利用してみてはいかがでしょうか。現在利用している方は、より安全に使うために、パスワード変更または、ログインの2段階認証を試してください。