インターネット上で公開されるウェブサイトは年々増え続け2015年現在6億以上になり、言語、用途、規模等も多種多様です。インターネットユーザーにとってはより多くの種類のサイトが閲覧できるのは嬉しいですが、実際には検索ならGoogle、SNSならFacebookなど少数のサイトに人気が集中しています。当然のことながらどのサイトに人気が集るかは国や地域そして言語に少なからず影響を受けます。そこで、日本を含む16カ国のウェブサイト・アクセスランキング・トップ25分析して、世界と日本のインターネット利用状況について調べました。
調査した国
経済レベルと人口及び地域を考慮して以下の16カ国をアレクサ・インターネットのランキングを使って調査しました。
アジア&オセアニア
- 日本
- 中国
- インドネシア
- インド
- オーストラリア
中東&アフリカ
- サウジアラビア
- 南アフリカ
ヨーロッパ
- イギリス
- フランス
- ドイツ
- オランダ
- スウェーデン
- ロシア
北南米
- カナダ
- アメリカ
- ブラジル
解析から分かった10のこと
1.インターネットはアメリカの一人勝ち
中国を除けば、各国のアクセスランキングトップ25は以下のアメリカ生まれのサイトが独占
- カテゴリ別占有率(ブロックされている中国を除く)
SNS(96.7%):Facebook、Twitter、Instagram、Pinterest
知識データベース(96.7%):Wikipedia、Imdb、Ask.com、Stack Overflow
動画(90%):YouTube
検索(90%):Google、Bing
ブログ(86%):Wordpress、Blogspot
ポータルサイト(82%):Yahoo
Eコマース(46%):Amazon、Ebay
Eコマースサイトの占有率が低めなのは、Amazonが利用できる国が限られているためと思われる。
- 全カテゴリの平均占有率(*一部のカテゴリを除く)
16カ国平均 75.83%、英語圏平均 91.94%、日本 52.17%、ロシア 44.44%、中国0%
英語圏はアメリカのサイトがそのまま使えるため占有率が圧倒的に高く、イギリスは100%だった。ただし、ニュースに関してはどの国も独自のサイトがランクインしていた。
日本が中国、ロシアと続いてアメリカのサイトの占有率が低いのは、ブログ及びコミュニティサイトに独自のプラットフォームを使っているためです。言葉の壁もありアメリカのサイトが本格的に進出してくる前に、自国でプラットフォーム開発が始まることが多いです。ロシアの場合は中国と同じでアメリカの影響力を減らす政策をとっているためと推測されます。
2.各国の人気トップ3はGoogle、Facebook、YouTube
この結果と大きく違うのは、3つともブロックされている中国と独自路線の日本とロシアだけです。日本のトップ3はYahoo Japan、Google、Amazonでロシアは独自の検索エンジン、独自のSNS、Googleの順番になっています。中国は全てが独自のサイトで、検索エンジン、ポータルサイト、Eコマースサイトの順番です。
3.検索サイトはGoogleが不動の一位、一人勝ちではない
中国を除く他の国ではGoogleが圧倒的な強さで、世界トップ25で1位のGoogle.comだけでなく、インドのGoogle.in(11)、日本のGoogle.co.jp(21)、ドイツのGoogle.de(23)がランクインしています。しかし、認知度は低いものの人口の多い中国の検索サイトの1位、2位のBaiduとHao123(Baidu系)も健闘して、それぞれ世界5位と7位にランクインしています。特にHao123はブラジルとサウジアラビアでもトップ25にランクインしていて、利用者が中国だけでないことがわかります。ロシア1位の検索サイトのYandexは旧ソ連国にも使われているため世界22位にランクインしています。日本では存在さえおそらく知られていないマイクロソフトのBingも世界24位につけています。
検索サイトにポータルサイトのYahooを加えると、Google、Yahoo、Baidu(Hao123を含む)、Yandex、Bingのトップ5の競争になっているのがわかります。
4.SNSはやはりFacebookとTwitterが2強
Facebook人気は圧倒的で、ブロックされている中国と日本(8位)とサウジアラビア(4位)を除き全ての国でトップ3入りしています。TwitterもFacebookほどではないですが、中国とドイツ以外の全ての国でトップ25にランクインしています。FacebookとTwitter以外では文字ではなく写真を主としたPinterest(スクラップブック)及びInstagram(写真)が人気です。
中国は唯一SNSのランクインが無い国で、その次にドイツ(1つ)日本(2つ)が続きます。SNSは平均で3つ以上ランクインしていて、唯一自国のSNS(アメリカ以外)がランクインしているロシアは合計6つもランクインしていいます。
日本はFacebook(平均3.5位)が8位、Twitter(平均13位)が16位にランクインしています。本名登録が日本のユーザーに今だに受け入れられていないからなのか、Facebookのランクがロシアと並んで16カ国中最低であり、ブログよりも低い唯一の国になっています。
5.アジアの国はブログ好き
ブログサイトがトップ10入りしているのはアジアだけ(インドとサウジアラビアも含む)で、ランクインしたサイト数も多いです。ブログのアジア平均は7位でそれ以外の地域の20位と大きな差がでています。特にインドネシアと日本はブログが大人気でそれぞれ4つと3つのブログサイトがランクインしています。
ブログサイトはWordpressとBlogspotと呼ばれるサイトが2強で、それ以外を使っているのは日本、中国、サウジアラビア、とロシアの4カ国です。。ちなみに日本はFC2、アメブロ、アメーバがランクインしました。
6.西欧はLinkedInでネットワーキング
ロシアを除く西欧ではアメリカ生まれのプロフェッショナルのためのSNS、LinkedInがトップ25にランクインしています。LinkedIn(ユーザー数3億人以上)のグローバルランキングは15位で、日本のトップサイトYahooが16位なのでアクセス数の多さを想像できると思います。友達の輪を広げるFacebookと違い、仕事の輪を広げるためのこのサイトは、本名だけでなく学歴・職歴・スキルなども入力して使います。トップ25にLinkedInが入らなかった国でも、ロシア(41)、インドネシア(42)そして中国(218)とトップ500にはランクインしています。SNSに本名やプロフィール写真を乗せるのに躊躇する人が多いためか、日本ではトップ500にもランクインしませんでした。
7.日本はポルノ好き
ポルノサイトがランクインしたのは、日本、フランス、ドイツ、オランダ、ブラジルの5カ国で、2つ以上のランクインは日本のみです。ちなみに日本は、コンドーム会社のDurexが毎年公表する世界の年間セックス頻度ランキングで毎年ダントツの最下位(世界平均の半分程)になるので、この2つの結果をあわせると興味深い結論が導けそうです。
8.日本はニュース専門サイトのランクインがない
イギリスはBBC、アメリカはCNN、フランスはルモンドなど各国それぞれの有力メディアサイトが最低1つはランクインしたが、日本は新聞社等のランクインがまったくありません。代わりにポータルサイトの数が16カ国中1位で、他の国とのニュースや情報の収集方法の違いが現れています。個々のメディアの違いがはっきりしない日本では、多くのネットユーザーにとっては情報源がどこかよりも、一度に色々なニュースや天気予報など必要な情報が集められるポータルサイトの方が使い勝手が良いのかもしれません。
他の国でもニュース専門サイトの数とポータルサイトの数は反相関性が見られ、イギリスを代表にニュース専門サイトが多い国は、ポータルサイトのランクインは少ない傾向があります。
9.日本は他の地域に比べてカテゴリの数が少ない
日本を含むアジアでトップ25にランクインしたサイトのカテゴリ数の平均は9.5で西欧のそれと4つの差があります。カテゴリの数が少ないのはインターネットが生活の基盤として浸透していないことが考えられます。日本ではランクインしていない、銀行&支払い、政府関連、仕事のネットワーキング、不動産関連、ニュースなどエンターテイメント以外のサイトが西欧の国でランクインしています。
10.日本は銀行又はペイサイトのランクインなし
日本は現金主義の人が多く、ITリタラシーが低い人も多いからなのか、オンラインバンキングや個人間の支払いによく使われるペイパルなどのペイサイトがランクインしていません。それでもEコマースサイトのランクイン数が他国とあまり変わらないのは、代引きや銀行振込が普通に使われているためと推測されます。
16カ国中10カ国で銀行サイトがランクインしていて、オーストラリアと南アフリカは銀行が3つもラインクインしています。
以上世界インターネットアクセスランキング解析からわかった世界と日本の10のインターネット利用傾向でした。みなさんはどの点が一番驚きでしたか?筆者は感覚的には分かっていたアメリカ生まれのサイトのランキング占有率の圧倒的な高さと、中国の検索エンジンのアクセス数の多さに驚きました。また、ブログ好きの傾向が日本だけでなく他のアジアの国にも共通しているのは楽しい発見でした。
2019年の世界アクセスランキングの解析結果も公開していますので、興味のある方は是非そちらもご覧ください。
世界のアクセスランキング2019の解析からわかること-カテゴリ編