スマホやデジカメなどのデジタル機器の仕様(スペック)や、デジタルドキュメントのサイズなど、デジタルの単位は生活の中にあふれています。
しかし、デジタルテクノロジーは、アメリカ生まれの技術が多いため、どうしてもアルファベット、またはカタカナ表記の単位が多く、分かっているようでちゃんと理解できていない単位も多いのはないでしょうか。
やみくもに覚えようとするよりも、元の語源や歴史を少し知っていると覚えやすいので、よく使われているデジタル単位をまとめて紹介します。
数量の接頭辞 / K(キロ・ケー)、M(メガ)、G(ギガ)、T(テラ)
テレビの4K、カメラのMP(メガピクセル)、スマホの容量のGB(ギガバイト)など、単位の前につけて数量を表すアルファベット。これらの記号は、デジタル機器で何度もでてくるので、一度覚えておくとよいです。
日本語の数字は、「万」という単位があるため混乱しやすいのですが、大きな数字を記載する時は、次のように「千」単位でくぎり、3桁区切りでコンマを打ちます。
1,000,000,000
この記載方法にそって、1000単位ごとに用意されたのが、次の表にあるメガやギガなのです。
記号 | 読み方 | 意味 |
K | キロ、またはケー | 1,000 |
M | メガ | Kの1000倍、100万 |
G | ギガ | Mの1000倍、10億 |
T | テラ | Gの1000倍、1兆 |
P | ペタ | Tの1000倍、1000兆 |
E | エクサ | Pの1000倍、100京 |
ちなみにどの単位もギリシャ語を語源としています。
例えば、ペタはギリシャ語で数字の5を表すPentaのNが省略された単語。アメリカ国防総省の通称でおなじみのペンタゴン(五角形)を思い出すと分かりやすいと思います。
1000の5乗=10の15乗=1000兆というわけです。
現在、接頭辞の最大単位はYotta(ヨタ)で10の24乗=1(じょ)。あまりにも大きすぎて日本語でも聞き慣れない単位ですね。
記憶容量の単位 / バイト(Byte)
バイト(Byte)は、スマートフォン、SDカード、パソコンのハードディスクの容量を表すのに使われます。単位はGB(ギガバイト)が一番良く使われますが、最近はTB(テラバイト)の容量もめずらしくありません。アルファベットは、大文字のBを使います。
次のビット(Bit)と名前と表記が似ていますが、異なる単位なので注意しましょう。
1バイト = 3ビットの関係になっています。
通信容量の単位 / ビット(Bit)
ビットは主に通信速度を表すために使われ、Mb/s(メガビット/秒)のように記載されます。アルファベットは小文字のbが使われます。1ビットの3倍のサイズの1バイトと勘違いすると残念な結果になるので気をつけてください。
例えば、次のような勘違いがおこる可能性があります。
10Mb/sの通信速度が可能であるとの記載を、 10MBのファイルを1秒で転送できると思ってしまうというものです。
10MB/s、つまり30Mb/sで通信できれば4K動画をスムーズに見られますが、実際は10Mb/s=3.33MB/sなのでストリーミングできるのはHD動画までです。せっかく4Kテレビを購入し、4Kストリーミングを契約しても通信速度が遅くては見られません。
パソコンと印刷の解像度
解像度やレゾリューションという言葉は一度は耳にしたことがあると思います。解像度に関連する単位がピクセル、PPI、DPIです。特にPPIとDPIは一文字違いということもあり、ふたつを混ぜて使っている方も多いかもしれませんが、それぞれ異なる意味を持っています。
Pixel(ピクセル)
デジタルイメージを構成するそれぞれの色を表現することができる最小の単位です。
デジタルカメラで撮影可能な最大のイメージを表して、12MP(メガピクセル)カメラなどと表記します。日本語では、画素数とも呼ばれ写真の横 x 縦のピクセル数の合計を100万で割って数字で表すのが一般的です。
また、テレビや動画などで4K対応という表記を見かけることも多いと思いますが、これもピクセル数を表しています。
具体的には、横に4K=4000個※のピクセルが搭載されているテレビということです。
※規格により4000ではなく横3840 x 縦21160ピクセルを4Kと称する場合もあり。
DPI(ディー・ピー・アイ)
DPIはDot Per Inch(ドット・パー・インチ)の略で、プリンターがどれだけ細かくシャープに画像や文字を印刷することができるかを表します。
具体的には、1インチ(2.54cm)の正方形の紙の縦または横にプリンターが印刷できる点の数=DPI。
確実に理解しておきたいのは、DPIと次に解説するPPIが異なるコンセプトであり、300DPI=300PPIとはならないことです。
理由は簡単で紙に印刷する場合、ある色調の赤を表すのに複数のドット(インク滴、CMYKの4色)を重ね合わせる必要があるのに対し、ピクセルで色を表す場合は、理論上1つのピクセルで256色の赤の表現が可能だからです。
単純化していえば、4色を使って1つの色を構成するのであれば4DPI=1PPIとなります。
ですから、2400DPIで印刷できるプリンターだからといって、それと同じだけのピクセル数の画像を用意する必要はありません。
PPI(ピー・ピー・アイ)
PPIはPixel Per Inch(ピクセル・パー・インチ)の略で、スマートフォン、パソコン、テレビのスクリーンの解像度を表すために使われる単位です。
簡単に言い換えれば、1インチ(2.54cm)の正方形の中に縦または横にいくつのピクセルを並べられるかを表しています。
理論上は数字が大きければ大きいほど、文字や画像がキレイに見えます。ただし、人間が見分けられるピクセルのサイズは限られているので一定以上になると差をほとんど感じられなくなります。
例えば、iPhone3GSの163 ppiのスクリーンと、iPhone 4の326 ppiのスクリーンを比べると違いがはっきりとわかります。しかし、iPad Airの264 ppiのスクリーンとiPhone 11の326 ppiのスクリーンの違いがわかる方は少ないでしょう。
また、画像を印刷するときには、プリンターのDPIに関わらず300ppiを基準にするとよいとされています。
文字(フォント)の大きさ
ポイント(Point)
ポイントは文字の大きさを表す単位です。
パソコンを使う方には馴染み深い単位だと思いますが、具体的に1ポイントの大きさがどれくらいかわかりますか?
デジタルの単位なので使っているパソコンによると思う方もいるかもしれませんが、ポイントはメートルやセンチメートルのような物理的な長さを表す国際単位です。
1ポイント=1/72インチ=1/12パイカ= 0.3528 mm※と定義されています。
※ここでは特にパソコンで使われるDTP(Desktop Publishing) ポイントにおける単位変換
ポイントは元々ヨーロッパの活字印刷で使われていたので、その当時使われていた長さの単位であるインチとの関係性をもとに大きさが決められました。その後パソコンで使うためのDTPポイントの策定のときにも既存の単位との互換性を考慮して現在の形になっています。
72分の1などという10で割り切れない数字になっているのもそういった理由です。
話は少しそれますが、Wordの初期設定のフォントサイズがなぜ10.5ポイントという中途半端な数字になっているのか気になったことはありませんか?
これは明治16年(1883年)創刊の官報の本文で使われた5号と呼ばれるサイズの文字の大きさが10.5ポイントに近かったためです。官報は、法律の制定等に関して国が国民に対して発行する国の広報紙で、いわゆる公文書のひとつ。
この伝統は現在も引き継がれていて、総務省の電子公文書の入力・表示・印刷レイアウトの定義で10.5ポイントが指定されています。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/dtd01.htm
パイカ(Pica)
パイカは印刷業界以外ではあまり見かけない単位かもしれませんが、ポイントと同じく文字の大きさを表します。
特にAdobeのIllustratorでドキュメントの大きさの指定するときがあります。
ポイント説明でも書きましたが、
1パイカ=12ポイント=1/6インチ=4.2336mmです。
まとめ
この記事ではデジタル機器でよく使われる単位について解説しました。
どれもパソコンを使っていればよく目にする単位ですが、いくつまで正確な意味を知っていましたか?
少しでもデジタル単位を理解する助けになれば、うれしいです。